人文学部卒・百五銀行勤務
卒業生インタビュー
三重大学を卒業し、様々な場所で活躍されている卒業生にインタビューをしました。
現在のお仕事の話から学生時代のお話まで、個性豊かな内容をお楽しみください。
教育学部卒・白塚小学校勤務
医学部卒・三重大学医学部附属病院勤務
医学部卒・三重大学医学部附属病院勤務
工学部卒・株式会社JSP勤務
生物資源学部卒・井村屋株式会社勤務
地域イノベーション学研究科卒・
あさい農園経営
浅井雄一郎 氏
地域イノベーション学研究科卒・あさい農園経営
浅井雄一郎 氏
地域イノベーション学研究科卒・あさい農園経営
——はじめに、大学院ではどのようなことを勉強されていたのですか。
浅井氏:僕は職業が農業で、主にミニトマトを作っている会社を経営しているので、農業に関する研究を行っていました。
当時は担当教員の小林先生に相談して、トマトの品種改良や病害抵抗性に関する未解明のことについて「ゲノム技術を使って解明したい」という思いで研究に取り組ませてもらいました。
——農業への挑戦をされていたのですね。大学院時代に学んだことは現在どのように活かされていますか?
浅井氏:うちの会社には「常に現場を科学する、研究開発型の農業カンパニーを目指す」というスローガンがありまして、三重大学でお世話になった中で得られた科学的思考を自分の仕事にも取り入れています。
そして、農業を志す人たちが科学的思考を持って仕事に取り組んでくれる、これが大きな財産となって活かされていますね。
農業の世界ってちょっと古いと言いますか、博士人材というイメージではないと思うんです。でも、僕らは農業者であり研究者・科学者であるAgronomists集団を目指すというのが、自分たちの会社の方向性になっているんですよね。
——農業者でありながら研究もする姿勢はとても尊敬します。浅井さんが思う三重大学のいいところを教えてください。
浅井氏:僕がいた地域イノベーション学研究科は全国でもかなり稀だと思うので、そこは三重大学のいい点だと思っています。
ずっと「地域をよりよくしていかなければならない」という前向きな考え方を持った人たちは、一体どこに集まればいいのだろうかと悶々としていたので、三重大学がプラットフォームとなってみんなが集まる器になれたのはとても良いことですよね。
「起業家の人たちがこの場で同じ学びの時間を過ごし、卒業後も連携をしながら地域にイノベーションを起こしていく」という取り組み自体が、全国的にも新しいモデルとしてかなり注目されていますし、すごいなと思いますね。
——三重大学が起業家の方々を繋げ、それが地域創生に繋がることはとても素晴らしいですね。続いて現在の仕事内容についてお聞かせください。
浅井氏:ひと言でいうと農業なんですけど、浅井農園としてグループ会社を含めると約500名の方が農業という仕事を職業として選んでくれて、チームとして新しい農業に取り組んでいます。
そして、ひと言で農業と言っても研究開発やマーケティング、生産、流通、営業、経営管理など幅が広い仕事がたくさんありますし、さらに農業の場合、この一つ一つの仕事の専門領域がとても深いんです。だから、僕らは組織的に、企業的にする農業を目指しています。
——今後の目標として考えていることはありますか。
浅井氏:我々が目指すべき自分たちの会社の姿もそうですが、地域の姿をビジョンとして描き、目標は常に更新していくものだと考えています。そしてここに共感してくれた人たちが一緒にチームとしてその目標を達成していこうとしています。
うちの社員のみなさんは農業という仕事に誇りを持ち、わくわくしながら働いている。僕は本来働くというのはそうあるべきだと思っています。人生の時間をあさい農園に投資してくれて、社会にアウトプットをしてくれている。だからここの経営者として、みんながわくわくし、誇りに思うような働く場所を作るというのが僕の仕事です。
色々な地域にわくわくする箱を作っていって、インプットするのは地域に住む人の情熱や人生の時間であり、消費者の方が美味しいと感じる、健康になってもらえるような農産物をアウトプットしていく、と。
すごい良い仕事じゃないですか?それなのに、何で子どもたちはこの職業につかないんだろうと思うんですけど、やっぱり僕らの発信が足りないんですよね(笑)。
——最後に、在学生へのメッセージをお願いします。
浅井氏:日本だと失敗をあまりにもネガティブに捉える傾向があると思っています。本来は、挑戦したから失敗があって、そこを称えるべきだし、色々な輝かしいイノベーションはそういう失敗の中から生まれてきている。失敗してもいい、むしろ失敗したほうが良くて、その失敗から色々なことを学べばいずれ成功しますから。皆さんが主役です。
——浅井さん、ありがとうございました。
▼プロフィール
2016年に三重大学地域イノベーション学研究科博士後期課程を修了後、経営コンサルティング会社を経て、現在は家業を継承しあさい農園の経営者として活躍中。
▼関連URL
あさい農園ホームページ江藤由美 氏
医学部卒・三重大学医学部附属病院勤務
江藤由美 氏
医学部卒・三重大学医学部附属病院勤務
——はじめに、現在の仕事内容を教えてください。
江藤氏:現在は、看護部長として三重大学医学部附属病院で勤務しています。看護部長の仕事って一番何しているかわからないですよね(笑)。
看護師というと採血や注射を思い浮かべると思いますが、そういった実務は副看護師長までなんです。私は副病院長や総合サポートセンターのセンター長も兼任しているので、会議はもちろんのこと、副部長からの報告や総合サポートセンターへ見回りをしてお困り事を聞いたり意思決定をしたりと幅広い業務を行っています。
そのほかには授業の講師や800人以上いる看護師のスタッフの事情を聞いたりと、とにかくいろいろなところを回っています(笑)。
——とても幅広く活躍されているんですね。江藤さんの学生時代はどう過ごされましたか?1番の思い出などあれば教えていただきたいです。
江藤氏:学生時代はお恥ずかしながら、あまり真面目な方ではなかったと思います(笑)。友人が頭が良く要領のいい子だったので、テスト前にはテストに出そうなところを聞いて乗り越えていました。また当時は当たり前だったのですが、看護実習が終わったら大門の方へバスで行き、実習先の担当看護師の方々と打ち上げで飲んでいたりしました。
でも1番の思い出はやっぱり看護実習ですね。今まではテストで点数を取ったり知識を増やすための勉強でしたが、実習を経験して「この患者さんの病気について知りたい」「この患者さんにこんなふうになってもらいたい」と、対象ができて勉強に対しての意識が変わったのを覚えています。また看護実習はとても大変で辛いことも多かったのですが、5名前後のグループみんなで下宿している1人の子の家に寝泊まりをして、看護計画や相談事を共有して助け合って乗り越えたのは今ではとても良い思い出です。
——当時と今では全然違いますよね。江藤さんが当時の学生時代に感じた三重大学のいいところはありますか?
江藤氏:やっぱりいろいろな学部が一つのキャンパスになっているところですね。病院内で話す方はほとんど医学部に関係する方なので、学生時代に別の学部の方といろいろな分野の話ができるのは総合大学ならではのことだと思います。
また、海が近いので海岸沿いでBBQや花火をするなど、自然豊かな点も他の大学と違って良いところだと思います。
——海が近いところは私も大好きです。当時から今にかけて看護師を続けていて大変なことはありますか?
江藤氏:最近で言うと、新型コロナウイルスが流行した初期の頃が本当に辛かったです。当時は新型コロナウイルスにどんな脅威があるのかわからず、またマスクなど防護用具もままならない中、スタッフに患者さんの対応をお願いしなければいけませんでした。
みんな患者さんが悪くないことはわかっているし、仕事とはわかっていても恐怖で泣いてしまう事が多くありました。そんな状況でも上司の立場としてスタッフを向かわせる時はとても辛かったですし、看護師としての使命で「行きます」と言ってくれた当時のスタッフには本当に感謝しています。
——辛い話ではありますがお話し頂きありがとうございます。最後に、在学生に向けたメッセージをお願いします。
江藤氏:今の学生には世界中に羽ばたいてたくさんの経験をしてほしいと思っています。看護のことで言えば、看護師は国家資格を取得したら終わりではありません。患者様に良い看護をするために楽しいことや辛いこと含めたくさんの経験をしないと、相手のことを真に理解できないと思います。
知識を得るのはもちろん大事ですが、実体験を通して学ぶことによってより相手のことを理解できますし、相手に対して優しくなれると思います。だからこそ学生のうちに世界に羽ばたいてたくさんの経験をしてほしいし、働き始めてからもその仕事だけではなく仕事以外の経験もたくさんしてほしいと思います。
——江藤さん、ありがとうございました。
堀岡明奈 氏
教育学部卒・白塚小学校勤務
堀岡明奈 氏
教育学部卒・白塚小学校勤務
——現在の仕事内容を教えてください。
堀岡氏:現在は白塚小学校で4年生の担任をしています。高学年から教科担任制を採用する話は出ているのですが、まだ私の学校では採用しておらず、私のクラスでは音楽以外はどの教科も私が指導しています。
——今のクラスの子たちはどうですか?外国人の子が結構多い印象を受けましたが…。
堀岡氏:凄くいい子たちばかりで純粋です。まっすぐで仲間思いで、仲間の為に何かをするのが凄く好きみたいで、そういう気持ちを伸ばしていけたらなと思っています。
白塚小学校は全体的に外国籍の子が多くて、各学年各クラスに必ず一人はいますね。この学年では40人のうち9人の児童が外国につながる児童です。子どもたちにとってはそれが当たり前で、むしろ、色々な国に興味を持てて良いなと思います。
——先ほど授業で生徒がタブレットを使っていましたが、普段から使っていらっしゃいますか?
堀岡氏:そうですね。昨年から津市の小学校では1人1台配布してもらって、どの授業でも使えるようになっています。先ほどの国語の授業では、調べ学習をするためにインターネットを使っていました。ロイロノートという小学校現場で使われているアプリみたいなものがあるので、それを使って検索をしたりとか、先生に提出物を出したりもしています。タイピングもみんなできていて、特に速い子は私より速いくらいです(笑)。頭が柔らかいうちに色々なことをやるってすごく大事だなと感じています。
——それでは堀岡さんの大学時代について聞きたいと思います。頑張っていたことは何ですか?
堀岡氏:陸上競技ですね。中学生のときから陸上をしていたので、初めは軽く運動ができたらいいかなぐらいの気持ちで陸上競技部に入部しました。そこで、他の先輩方や仲間たちと練習を取り組むうちに、気付いたら大学生活の半分以上はそこに熱中していました。今、振り返ってみたら部活しかしてなかったなってくらい力を入れてやっていたと思います。
——大学時代の学びが現在に活きていると感じることはありますか?
堀岡氏:各教科の授業の準備や授業の仕方などはもちろんのこと、保健体育コースとしてスポーツを専門的に教えていただいたので、今の体育指導で凄く活きていると思っています。例えばバスケットボールだったら、実際に小学校の子どもたちに教えるときにはどういう教え方をするといいかというのも考えます。
ルールを子どもたちに合わせて、なるべく簡単にしたり、人数とかボールの大きさとかを工夫したり…。大人に教えるのと子どもに教えるのはちょっと違うので、一個一個の工夫が大切だと学ばせていただきました。
——三重大学や自分の学部のいいと思うところはどこですか?
堀岡氏:色々な学部が一つのキャンパスにあるので、部活でも様々な学部の人と関われたのは良かったと思います。それから私の保健体育コースはThe体育会系みたいな雰囲気で、先輩と後輩のつながりが強いので、先輩からはすごく面倒を見てもらいました。
横のつながりも濃くて、本当に今でも同期とは仲が良いと思っています。
それこそ、先ほどお話ししたタブレットの活用についても、こんな風に使っているよ、と先生同士の情報交換もできるので、学生時代にできた人間関係は今でもすごく大切にしています。
——最後に在学生へのメッセージをお願いします。
堀岡氏:大学は将来や夢に向かって一緒に切磋琢磨できる人達が集まる場所で、本当に恵まれている環境だと思います。
在学中はなかなか気付きにくいと思うのですが、その限られた時間と環境の中で、自分が好きなことや夢中になれることを見つけてもらえるといいのかなと思います。
また、将来直接役に立つか立たないかは分からなくても、色々なことに一生懸命になって取り組んでほしいです。どんな経験でも必ず自分の力になる時が来ると思うので、在学生にはぜひたくさんのことに挑戦して頂きたいなと思います。
——堀岡さん、ありがとうございました。
加藤光一 氏
生物資源学部卒・井村屋株式会社勤務
加藤光一 氏
生物資源学部卒・井村屋株式会社勤務
——はじめに、現在の仕事内容を教えてください。
加藤氏:現在は井村屋の品質管理部に所属しており、一言で言うと生産している商品の品質を保証する仕事をしています。
具体的には、新製品やリニューアルする商品の品質の確認、直接お客様からいただいたご意見に対する原因追及、伝わりやすいパッケージデザインの作成、製品を出荷するための合否判定の業務を行っています。
商品出荷前の異常を検知する「最後の砦」の業務なので、責任感はありますが、とてもやりがいのある仕事だと思います。
現在の品質管理部門の前には、生産技術や工場管理なども経験しましたし、一番長い開発部では「やわもち」という商品の開発に携わっていたこともあります。本当にたくさんの苦労がありましたが、今では「あずきバー」に次いで井村屋の主力商品となっており、アメリカをはじめ海外でも愛されている自慢の商品です。
——“最後の砦“ってなんだかかっこいいですね。アイスの他におすすめの商品を教えてください。
加藤氏:おすすめは「ゴールド肉まん」です。一般的な肉まんは丸い生地に筒状の機械で具が入れられますが、ゴールド肉まんは薄いシート状の生地を伸ばして具を包むので、生地が負うダメージが少なく、まるで手で包んでいるような食感になっています。
一般的な肉まんとは生地も中身も全く異なりすごく美味しいので、ぜひ一度食べていただきたいですね。
——ゴールド肉まんは食べたことがなかったので、是非食べさせていただきます!学生時代で一番印象に残っていることはありますか?
加藤氏:一番印象に残っていることは、少し変わっていると思いますが馬術部での経験ですね。
馬術部は当時の僕からしたら想像を絶するもので、大学に馬を十頭ほど飼っていたのですが、年中誰かが世話をしなければいけませんし、暑さに弱いため練習は朝の6時からしていました(笑)。
また馬の世話にかかる費用を大学からの補助金だけでは賄えなかったため、アルバイトをして資金を稼いでいましたね。
大変な面はありますが、その分馬術という特殊なスポーツを経験できますし、楽しい思い出もたくさんあったので今でも印象に残っています。
——朝の6時から練習をしているのはすごいですね。学生時代学んだことで現在の仕事に活かされていることはありますか?
加藤氏:今に活かされていることは研究室での経験ですね。当時は企業に勤める社会人の研究生と一緒に研究をしていたのですが、学生の僕に社会のことを色々教えて頂いたり、ご飯に連れていって頂いたりと、今思えばとても有益な機会でした。
また研究は自分の頭で考えて進めていくものなのでとても大変でしたが、大変な思いをした分、社会人になり仕事を始めた時に「仕事が大変」と思わないくらいに成長できました。
——学生のうちから社会を勉強しておくことはとても大切ですね。加藤さんが学生時代に感じていた三重大学のいいところを教えてください!
加藤氏:三重県の風土も影響していると思いますが、人が優しく穏やかで、良い意味で少しのんびりしているところですね。
部活動の仲間たちもとてもいい人ばかりで、だからこそ大学を楽しめたと思っています。先生たちもフレンドリーでとても恵まれていた環境だったと感じています。
——最後に、在校生へのメッセージをお願いします!
加藤氏:学生時代に勉学はもちろんですが、そのほかにも色々な経験をしてほしいですね。勉強でも人生でもそうですが、最初に楽をしていると後が大変になると思います。
勉強で単位を落とさないことであったり、アルバイトを通して社会勉強をするであったり、できることはたくさんあるので自分で進んで学んでいってほしいです。
苦労した経験や自分の頭で考えて行動した経験は、その時は大変ですが将来必ず仕事や人生に活かされると思います。頑張ってください!
——加藤さんありがとうございました。
▼プロフィール
1986年に三重大学農学部(現・生物資源学部)を卒業。当時は農芸化学を専攻しており、食品化学の研究室にてお酒の酵母について研究。卒業後は技術職として井村屋株式会社の生産技術、工場管理、開発を経験し、現在は品質管理部として活躍中。
▼関連URL
井村屋ホームページ長戸彩 氏
人文学部卒・百五銀行勤務
長戸彩 氏
人文学部卒・百五銀行勤務
——大学ではどんな勉強をされていましたか。
長戸氏:民法や刑法など法律に関する講義を中心に、他にも金融経済の講義なども受けていました。
ゼミでは会社法を専攻していて、会社の設立に関する内容を学んでいました。
ちょうど学生のころサブプライムローン問題がありまして、その時の世界経済で何が起こっているかを、野崎哲哉先生の講義で熱く語って頂いていたのをよく覚えています。
経済動向の基礎の部分を学べていたことは、入社してからも役立ちました。
——現在の仕事内容について教えてください。
長戸氏:はい。私が現在所属している法人コンサルティング部では、法人のお客様を中心に、経営課題に応じた多彩な提案活動を行っています。例えば、事業承継や資金調達などのご相談に乗るほか、お取引先様同士を結びつけて新事業の開拓をするビジネスマッチングなど、様々なご提案をさせて頂いています。
特に私が所属しているICTコンサルティングチームでは、簡単に言うとお客様のデジタル化支援を行っています。
三重県では人口も減って働き手が少なくなってきて、今まで通りに業務を進めていくのが難しくなることもあります。
そこでデジタルツールを導入して、業務を効率化したり経営状態を見やすくしたりといった改善のご提案をしています。
——お仕事をしていて、楽しいと感じるのはどんなところですか?
長戸氏:今私が担当しているICTの事業は、2022年の4月に立ち上げた新事業です。地域の特性もあるので、他行さんを参考にしても上手くいくとは限らず、試行錯誤しながら今まさに事業の形を作っている状態です。
以前までは与えられたものをきちんと行うような業務が基本だったので、今のように自分で形を作っていくような活動は大変ですが、楽しいところでもあると感じています。
——長戸さんは当時どんな学生でしたか?
長戸氏:比較的真面目な方だったと思っています(笑)。
3年の前期には卒業に必要な単位をほぼ取り終えていて、その後は学芸員や司書などの資格取得に繋がる講義も受けていました。
ただ、受け身な講義よりも、就職してから一番活きるのはプレゼンの資料を作る能力や、わかりやすく説明する力だと思います。
私が学生の時はその練習ができたのがゼミだけだったと記憶しているので、現在ではプレゼンなどを積極的に取り入れた授業が増えていると聞き、すごくいいなと感じています。
——三重大学のいいところはどこだと思いますか?
長戸氏:一つのキャンパスに全学部が揃っているので、特に1回生、2回生の時は一般教養や食堂で他の学部の人達と関わる機会もあって、交友関係が広くなるところが良いと思っています。
他には、三重県で就職するのであれば三重大学はネームバリューがありますし、地元企業との繋がりによってインターンシップの機会があるのも良いのかなと。
あとは…何というか、三重ならではのゆったり落ち着いた雰囲気があると感じていて、他人と比べたり変に背伸びしたりせずに居られる場所だったかなという風に思っています。
——最後に在学生に向けてメッセージを頂けますか。
長戸氏:社会人になると自由な時間がすごく少なくなります。もし銀行に就職するのであれば、お客様により良い提案ができるように、特に入ってからの検定や資格取得の勉強が大変です。多くの時間があるのは大学生のうちだけだと思うので、勉強も遊びもめいっぱい楽しんでくださいね。
それから色々な学部の人と知り合えるので、色々な考え方に触れてほしいなと思います。様々な意見を聞いた上で自分の考えをまとめる機会として、有意義に過ごしてもらいたいなと思っています。
——長戸さんありがとうございました。
爲田雅彦 氏
医学部卒・三重大学医学部附属病院勤務
爲田雅彦 氏
医学部卒・三重大学医学部附属病院勤務
——現在の仕事内容について教えてください。
爲田氏:現在は、三重大学医学部附属病院に勤めています。担当の診療科は、「消化器・肝臓内科」で、肝臓の診療を中心としています。具体的には、肝細胞癌や、B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎、脂肪肝などの診療を行っています。
月曜日と木曜日は本院で、火曜日と金曜日は他の病院で外来診療をしています。水曜日は、肝細胞癌の処置やB型肝炎のウイルス変異に関する研究などを行っています。
その他にも、本院の広報活動や私が副会長を務めている「三医会」という三重大学医学部同窓会の活動なども行っています。
——患者さんの中に多い疾患は何ですか?
爲田氏:脂肪肝は、メタボリックシンドロームや肥満などを背景として起こる疾患で、患者さんの人数も年々増えてきています。
昔はアルコール性の脂肪肝が多かったのですが、最近は、お酒を飲まない方でも肝臓が悪くなり、がんや肝硬変といったところまで進行してしまう非アルコール性脂肪肝炎が増えているので、社会的にも医学的にも問題になってきています。
——医療従事者として活動する中で心掛けていることはありますか?
爲田氏:肝臓の病気というのは、アルコールや食習慣、社会背景などが原因になることが多く、本当に幅広い層の患者さんがいます。そのため、患者さんの背景をしっかりとお聞きし、患者さんと一緒に治していくという意識を持つことを常に心がけています。
また、ウイルス性肝炎というのは感染しても気づかない病気で、そもそも知らないという方も多いと思います。医者は、目の前の患者さんを治療する仕事であるのはもちろんですが、病気に対する正しい知識の啓発・啓蒙活動や、また研究の発表を行うことで早期発見や予防に繋がり、結果的により効果を上げられると考えています。
2023年1月からは行政と連携した肝炎相談支援センターでの活動も行いますが、そのような様々な視点からのアプローチが患者さんを救うことに繋がると信じていますので、幅広く積極的に活動しています。
——とても素敵な考えで尊敬します!爲田先生の学生時代や今活かされていることを教えてください。
爲田氏:学生時代は、昼間は勉強、夕方以降は医学部の軽音楽部でビッグバンド・ジャズという大人数編成のバンドで、トロンボーンに熱中していました。
また一年生の頃から研究室の活動に参加し、基礎的な実験などをやらせていただいていました。当時指導教官である小児科の先生が、遺伝子異常によって起こる疾患に対する遺伝子解析などの実験手法を教えてくださり、その時の研究が今の自分のウイルス性肝炎の研究にしっかりと活きていますね。当時から多くのことに挑戦できたので、自分のやりたいことや興味のある内容を見つけられました。
——学生時代から多くのことに挑戦されていたんですね。それでは三重大学の良いところを教えてください!
爲田氏:他の大学を知らないのでなかなか難しいですね(笑)。三重大学は総合大学で他の学部も同じキャンパス内にあるので、特に私の所属していた軽音楽部は、当時他学部の学生も参加していて、学部や専攻問わず幅広く交流できることは、多様性という意味でも良い点だと思います。
また医学部には、「新医学専攻コース」という、一年生から好きな研究室で研究や発表ができる制度があり、その制度のおかげで、今のやりたいことや興味を見つけることができたのでとてもいい経験でしたし、とても感謝しています。
——最後に、在学生に向けてメッセージをお願いします。
爲田氏:学生時代やこれからの人生で色々なことを経験して、色々な面を見て、そして三重県の良さに気づいてほしいと思っています。これは、私が三重県を好きだからというのもありますが、過去に様々な三重県内の病院で勤務し、アメリカでの2年間の留学を通して色々な経験をした上で、また三重県に帰ってきたいと思えたのは、それだけ魅力のある県だからだと思っています。
皆さんが卒業後、他県に就職したとき、他県の方が合う人もいると思いますが、もし合わないと感じたら、また三重県に戻ってきて働いてみてください。きっと、学生の時には気づかなかった三重県の良さに気づくと思います。
——爲田先生、ありがとうございました。
爲田氏:こちらこそありがとうございました。最後に「三医会」という医学部同窓会では、研究活動の応援や卒業生同士の県内、県外での繋がりを作る目的で様々な活動をしています。医学部同窓会の広報活動や情報発信、三重大学出身の県外で活躍されている先生方の応援活動やネットワーク作りを行っていますので、ぜひご支援をお願いいたします!
▼プロフィール
2006年に三重大学医学部医学科を卒業。その後、三重県内の様々な病院で勤務。2017年から2年間はアメリカへ研究留学をし、帰国後、2019年より三重大学医学部附属病院に勤務。
▼関連URL
三重大学病院消化器・肝臓内科ホームページ三重大学病院消化器・肝臓内科Twitter
三医会ホームページ
山崎将武 氏
工学部卒・株式会社JSP勤務
山崎将武 氏
工学部卒・株式会社JSP勤務
——はじめに、現在の仕事内容を教えてください。
山崎氏:現在は、プラスチックを発泡させ緩衝材や断熱材、自動車などに用いる資材を製造する会社の知的財産部に所属し、特許や知的財産に関わるお仕事をさせてもらっています。
特許というものに馴染みがない方も多いと思いますが、他の会社に対しても独占的に使える権利のことで、自社の製品が他社の製品を侵害していないか、逆に他社の製品が自社の製品を侵害していないかなど、自社のコンプライアンスや信用を保つ業務です。現在の情報社会では特に重要度が増してきている部門かもしれません。
——特許と聞くととても難しいイメージがありますが、今のお仕事を続けていて大変なことはありますか?
山崎氏:やっぱり目線の違いかなと思います。
知的財産部では、研究でできあがったものを文面などを用いて最終的な権利にしますが、現在の仕事に就く前はずっと研究職にいたので、どうしても研究者目線での良し悪しで考えてしまうんです。
例えば研究Aを権利化する時に、Aという権利にならなかったとしても別の目線で見たらBという違う権利にすることができたりするんです。僕はAという目線にとらわれることが多く、今までの経験と違う視点や考えが必要なので、日々学ぶことばかりです。
——さまざまな視点で考えるってどんなことにおいても大切ですよね。山崎さんの学生時代はどう過ごされましたか?1番の思い出などあれば教えていただきたいです。
山崎氏:大学1年〜3年生の時は、アカペラと天文サークルでよく過ごしていました。また大学で海外に行くような制度をよくチェックしていて、4年生の時には海外インターンでベトナム、修士1年〜2年の時にはトビタテ留学JAPANという留学制度を利用したオーストラリアへの留学、修士2年の時には日中の国交五十周年記念の企画で中国に2週間ほど滞在していました。
ですが、1番の思い出はやっぱり大学4年次から修士2年次までの研究室での学びですね。教授から厳しく指導されたこともありますが、有機化学について一番本気で学ぶことができましたし、研究に対して本気で向き合えた環境だったと思います。
——様々なことに積極的に取り組んでいてすごいです!学生時代学んだことで現在活かされていることはありますか?
山崎氏:よく大学時代に学んだことはたいして今に活かされないという人がいますが、僕の場合は大学時代学んだことが全部今に活かされていると感じています。
現在の仕事でいうと、特許出願するものは新規性があってすごいものだとアピールしないといけませんが、これは研究の論文でも同じなんです。
大学の研究室でも「最新の研究は何か」「他に同じような研究をやっている人はいないか」と、多くの文献を読んだ経験があるので、大学の研究室で経験したことがそのまま活きていると感じています。
そのほかにも授業で聞いたことのある分析方法や機器、知識も現在の業務に活きていて、逆に活かされていないことが無いくらいです(笑)。
——大学で学んだことが活かされていると言えるのはとても素敵です!山崎さんが学生時代に感じた三重大学のいいところはありますか?
山崎氏:やっぱり海が近いところがいいですよね。浜辺でのBBQはもちろん、天体ショーのように浜辺で寝転びながら星や流星群を見たり、朝4時に起きて釣りに行ったりしたのはとても思い出に残っています。
また忍者について学べる学部があるなど、大学の特色があるのが面白いと感じています。
大学から最寄駅の江戸橋駅までが遠いのは大変でしたけどね(笑)。
——大学のすぐ近くに自然がある点は僕も好きです!最後に、在学生に向けたメッセージをお願いします!
山崎氏:学生だから友達と遊んだほうがいいのはもちろんですが、大学のうちに学べることはたくさん学ぶといいと思います。
自分が知らないだけで三重大学の中にもいろいろな情報や留学支援の情報などもありますし、広くアンテナを貼っておくことで思わぬ出会いがあると思います。僕もそうですが、過去の経験が会社選びや今後の人生につながるので、そういった意味でもさまざまな経験をしておくのはとてもいいことだと思います。
なんとなくで大学を過ごすのもいいですが、今学べることや今できることに全力で取り組んでやりきって欲しいと感じています。ぜひ今を楽しんで頑張ってください!
——山崎さんありがとうございました。