人文学部 文化学科
研究室紹介
三重大学にある5学部6研究科の中から9つの研究室をピックアップしインタビューしました。
普段はあまり知ることができない、研究室の雰囲気や先生のお人柄を中心にお伺いしました。
教育学部 学校教育
医学系研究科 生命医科学専攻
形成外科学教育研究分野
医学系研究科 看護学専攻
地域看護学教育研究分野
工学研究科 電気電子工学専攻
情報処理教育研究分野
工学研究科 建築学専攻
建築・都市計画教育研究分野
生物資源学研究科
国際資源植物学教育研究分野
生物資源学研究科
水圏材料分子化学教育研究分野
地域イノベーション学研究科
分子遺伝育種学教育研究分野
伊藤智広 准教授
生物資源学研究科
水圏材料分子化学教育研究分野
伊藤智広 准教授
生物資源学研究科
水圏材料分子化学教育研究分野
——まずはじめに、研究内容について教えてください。
伊藤准教授:水圏に棲息している天然動植物に含まれる成分がヒトの健康に対して有効的に機能するのか、ということを研究しています。特に骨の代謝や、皮膚の恒常性(メラニンを作る能力、皮膚の老化)などに有効なものはないかを探り、食品や化粧品での活用を目指して研究を進めています。
——具体的に水圏の動植物は、どんなものをターゲットにしていますか?
伊藤准教授:ひとつ例を出すと、処分されるサンゴです。南西諸島でマグロ養殖をしていると、生簀の網にサンゴが沢山付着することでバランスが崩れて傾き、隙間から逃げたり、サメが入ってきたりすることがあります。 被害が出るので生簀の網にくっついたサンゴは剥ぎ取って処分されてしまうのですが、それを何かに有効利用できればと考えています。
——海に出てフィールドワークすることはありますか?
伊藤准教授:我々の研究は単独で機能探索研究できないので、多くの研究機関(大学、公設試)、自治体や企業さんと共同で研究しています。その方々にフィールドで取ってきてもらうなど役割分担をして研究しているので、うちの研究室でフィールドワークに向かうことは少ないですね。 ただ、現場を知らないとどのような問題が背景にあるのか分からないので、共同研究する際には必ず現場の状況を確認しています。
——研究室での年間行事などはありますか?
伊藤准教授:こんな時期なので今はほぼ全部ストップですね。半期ごとにまとめて誕生日会をして、教員からケーキをプレゼントしたり、卒業研究発表の前に4年生やマスター2年生を連れて、激励会ということでランチを一緒に食べに行ったりします。学生たちがボーリング大会をしたいと言ったときは自分たちで企画してもらい、教員から1位の人にAMAZONのギフト券を渡したりもしていました(笑)。
——伊藤先生が研究室の学生に求めることは何ですか?
伊藤准教授:厳しいことを言われるのが嫌だからといって、先生にひとつずつ手順を聞いて実験する学生が多いように思います。チャレンジングな研究をしているので、失敗することに対しては何にも言いません。先生にやらされているわけではなく、自分がその研究テーマのトップであるという気持ちをもっと強くもって取り組んでほしいですね。
——では学生さん、伊藤先生はどんな先生ですか?
学生:伊藤先生はすごく丁寧に教えてくれて、いつも本当にありがたいなと思っています。厳しい時は厳しいけど、先生の愛があるなって感じますし、結構雑談とかもしてくれて楽しいです。
——伊藤先生は学生さんに対して厳しめに指導されているのですか?
伊藤准教授:僕の所が厳しいからといって避けるのであれば構わないのですが、頑張りたいと思っている学生には手厚く指導します。若い時に逃げ癖をつけると、困難な課題が下ろされてきたときに人任せになりますし、頼られる人材にはなれないと思っています。仕事をするからにはトップリーダーとして頑張って欲しいので、ハードルが少しでも高いものにチャレンジしてくださいと学生には伝えています。
それから、レールに乗ればいいと考えている学生が多いので、レールを作ってみようという野心のある学生が増えたら面白いですよね。そうするともっと三重大が地域貢献の核となり、この地域がさらに活性化するのかなと思います。
——それでは最後に卒業生にメッセージをお願いします。
伊藤准教授:笑顔で活躍する卒業生の皆さんを教職員一同、応援しています。
(私は、卒業していく4年生やマスターには「いつも笑顔でいろよ!笑顔でいられなくなるような時には研究室はいつもオープンにしているから、相談しに来い。」と言って送り出しています)
▼プロフィール
2005年三重大学博士課程修了後、井村屋製菓株式会社の研究員、財団法人岐阜県研究開発財団岐阜県国際バイオ研究所の研究員、近畿大学農学部での准教授等を経て、2016年から三重大学生物資源学研究科 水圏材料分子化学教育研究分野の准教授に就任。食品機能学,生化学,骨代謝化学,美容皮膚科学等を専門分野として研究。
▼関連URL
生物資源学部・生物資源学研究科ウェブサイト研究室ホームページ
研究室Facebook
川中普晴 准教授
工学研究科 電気電子工学専攻
情報処理教育研究分野
川中普晴 准教授
工学研究科 電気電子工学専攻
情報処理教育研究分野
——最初に研究内容を簡単に教えてください。
川中准教授:AIや画像認識、機械学習、DXに関する技術を、主に医療や福祉に適用する研究をやっています。 例えば、うちの研究室では画像認識や画像処理が得意なので、これらの技術を使って病理画像から画像の特徴を取り出しています。一方で共同研究先のアメリカの病院の先生には遺伝子の発現パターンを見てもらい、表現型と遺伝子の発現パターンにどんな関係性があるのかを探っています。
少し難しいこと言ったかもしれませんが、病理画像から得られる細胞や組織の特徴と遺伝子の発現パターンの対応付けをしようとしているんです。もちろん、人間を始めとした生物の仕組みって複雑なのでそんなに簡単にはできませんが,このプロジェクトが進むと、病理画像からどの遺伝子が異常をきたしているかというのがわかるようになるのかなと思っています。
他にも、AIや画像認識を活用して動画から歩行機能を評価するシステムや,リハビリテーションに活用するためのシステムについても研究開発を進めています。例えば、医療なら小児麻痺の子、福祉ならお年寄りの体にマーカーを付けて歩いてもらい、モーションキャプチャという装置を使って動き方をリアルタイムで解析することで歩行機能を評価したりします。ただ、モーションキャプチャーは高価なカメラを何台も使ったりするので高価で規模の大きい設備が必要になるんです。研究室では、家庭用のカメラやスマートフォンを使って小さなリハビリテーション施設や介護施設、自宅で日常的に歩行機能の評価ができるようになるようなプチイノベーションを起こせるといいなと考えていたりしています。 このプロジェクトも先ほど紹介したアメリカの病院の先生や,本学の看護学科の先生と一緒にやったりしています。
——工学部の研究とはいえ、医学に深く関わっているんですね。
川中准教授:そうですね。僕は元々工学部出身なんですが、工学部の博士課程を修了したあとに医学部の大学院で博士の学位をを取りに行っていたので、実は工学と医学のダブルメジャーなんですよ(笑)。 結局、一つの専門分野だけでは研究プロジェクトを進めていくのは難しいので、色んな人と協力しながら、自分達の持っているノウハウを活用していくことになるのかなと思っています。今は医療や福祉がメインの分野ですが、新しく半導体といった分野にも着手していますね。
——研究室の入口には国旗の置物がたくさんありますね。
川中准教授:うちの研究室に入ってくれた外国人留学生の国の国旗を集めています。今では10ヶ国になりました。 うちの研究室では修士課程は全員海外に留学させるというポリシーなのですが、留学生がいるおかげで必然的に英語でコミュニケーションを取る環境ができていて、放っておいても学生は外国人慣れをして英語を喋れるようになりますね。
——外国人の学生はどんなルートで研究室に入ってくるんですか?
川中准教授:外国人留学生のほうから問い合わせがたくさん来ます。 研究室のホームページに、「留学をしたい人はこうしてください」っていうのを全部英語で書いているので、それを見て直接研究室に連絡が来ます。 あとは,アメリカやイギリスなど海外にお友達がたくさんいるので、その繋がりで紹介があったりもします。
——コロナ禍で研究室に変化はありましたか。
川中准教授:うちの研究室は正直コロナ前からリモートワークをできる環境ではあったので…そういう意味では変わってないのかな(笑)。 研究室にはディープラーニングや画像認識用のサーバーがずらっと並んでいて、リモートログインしてしまえば、いつでもどこでもプログラム開発ができます。
僕は「何時から何時は研究室に居なさい」っていうことは全く言わず、「決められたお仕事さえこなしていれば自由にやっていいですよ」っていう風にしています。ですから、毎日来る学生もいれば週に2回ぐらいしか来ない学生もいますね。 ただ、交流が無いとコミュニケーションエラーが発生してしまうので、ある程度は意思疎通ができる環境にしたいと思っています。ということで、研究室の中にカフェスペースみたいな場所を作って、みんなでコーヒーを淹れて話をしたりもしていますね。
——すごく研究室全体の見通しが良くて明るい感じがします。
川中准教授:学生部屋の入ってすぐのところがかわいい雰囲気になっていて、他の先生からは「キッズルーム」って呼ばれてたりします(笑)。 研究室の風景としてありがちなのかもしれませんが、一人ずつ机があって区切られていて、資料が山盛りになってる…みたいなのを変えたかったんです。それで、研究室にあった個別机を撤廃してフリーアドレス化して、研究室には必要最小限のものだけを置くようにしました。 空いたスペースにはサーバーを置いたり、実験の工作をするスペースにしています。 こうすると場所の利用効率が上がって、ある程度人が増えても対応できるんですよね。
——最後に卒業生にメッセージを頂けますか。
川中准教授:「2年前に一気に模様替えをして研究室がすごく綺麗になりました!」と、とりあえず伝えておきます(笑)。 うちの研究室は以前からOB会を定期的にやっていたんですが、最近はコロナの影響もあってできていないんですよね。どこかでタイミングを作りたいなっていう気持ちでいっぱいです。 またぜひ興味があればいつでも研究室に遊びに来てくださいね。
——川中先生ありがとうございました。
▼プロフィール
2004年に三重大学大学院工学研究科博士後期課程修了、2007年には助教として三重大学に就任し、2009年に三重大学大学院医学系研究科博士課程修了。その他にも様々な経験を経て、2017年から現在に至るまでは工学研究科准教授として、AI、画像認識、機械学習、DX等について研究。
▼関連URL
工学部・工学研究科ウェブサイト三重大Rナビ 研究室探訪
近藤早映 准教授
工学研究科 建築学専攻
建築・都市計画教育研究分野
近藤早映 准教授
工学研究科 建築学専攻
建築・都市計画教育研究分野
——まずは簡単に研究内容を教えて頂けますか。
近藤准教授:はい。「建築」と「都市」のちょうど中間領域をターゲットとする研究をしています。「建築」単体ではなく「都市」に視野を広げると、人々の行動やそれらをマネジメントする政策に至るまで様々な対象が研究に関わってきます。この複雑系を少しでも理解しようと、私は人間の認知や意思決定にフォーカスをしながら、都市空間の作り方、利用活用の手法などを研究の題材としています。
——研究室を見回すと、パソコンが置いてあるぐらいで凄くシンプルな気がします。
近藤准教授:そうですね、基本的には論文や提案を書くのはパソコン一つあればできてしまいます。ただそこに至るまでに私とのディスカッションはもちろん、学生同士でも積極的に意見を交わすゼミを重要視しています。
これは私の研究結果ですが、ディスカッション中に何か書きながら考える際に、机の上で模造紙などを使って水平面で行う場合とホワイトボードなどを使って垂直面で行う場合を比較したところ、水平面の方がクリエイティブなアイデアが出ることが分かったのです。天板がホワイトボードになっている机も市販されていますので、色々討議ができる雰囲気の研究室を作りたいと思っていますが、それはこれからですね(笑)。
——研究室のゼミ活動ではどんなことをしていますか?
近藤准教授:私達は都市を対象にした研究をしていますので、実際に現場を訪れ、対象を観察し、その空気を肌身で感じることを推奨しています。最近は地域から「空き家を色んな人たちが使える拠点にしたいがどうしたらいいのか」とご相談を受けることもあり、学生達とフィールドワークをして何が求められているのかを探り出し、提案につなげようという取り組みを始めているところです。
——学生の主体的な学びを大事にされているんですね。
近藤准教授:はい。私は、学生がやりたい研究をやってほしいと思っています。大学の研究室は先生がある程度研究テーマを用意している場合が多いと思いますが、私はまず学生本人が何に強く関心を持つのかを引き出すようにしています。そうすることで結果的には皆さんの暮らしに役立つ研究ができると思っています。
——何を研究したいか決まっていない学生さんも多いのではないですか?
近藤准教授:そうですね。そこで、4年の前期は徹底的に紀要論文を読ませるんです。ただし読む論文も基本的に私からは提示せず、自分の関心を起点にして自分の力で探し、読んでみてどう感じたのかをゼミで共有しています。その過程で段々と、研究ってこういうものなんだという理解が深まるのと同時に、ぼんやりと考えていたリサーチクエスチョンがどうやったら研究に育つかが何となく見えてくるんですね。
やっぱり研究をやるからには誰かの教えたレールに乗るのでは良くないと思っているので、彼らの中で育つことを待っています。今年の卒論生もここまでくるにはかなり苦しんだと思いますが、皆さんそれぞれとてもユニークな研究を行っていますね(笑)。
——それでは最後に三重大学の卒業生に向けてメッセージをお願いします。
近藤准教授:やはり大学が魅力的で持続的になるには、新たに入ってくる学生だけではなく、卒業した皆さんにも魅力を感じてもらえる大学にならなくてはいけないと考えています。持続的な大学は、卒業生の皆さんがとても母校を愛してるんですよね。誰かが愛を届けてくれるのを待つのではなく、アクティブに愛を育てていく活動が必要だと思っています。卒業してから新たな愛が芽生えることもあると思いますので、ぜひ卒業生の皆さんと、教員、学生も一緒になって、愛を芽吹かせる活動に関心を持って頂けると嬉しいと思っています。
——近藤先生ありがとうございました。
▼プロフィール
東京大学大学院工学系研究科博士後期課程を修了。東京大学先端科学技術研究センターにて特任助教を務めた後、2021年度からは三重大学工学研究科で准教授として活躍中。
▼関連URL
工学部・工学研究科ウェブサイト水谷真由美 准教授
医学系研究科 看護学専攻
地域看護学教育研究分野
水谷真由美 准教授
医学系研究科 看護学専攻
地域看護学教育研究分野
——はじめに、現在の研究内容を教えてください。
水谷准教授:経済発展に伴い生活習慣病が問題となっているインドネシアで、現地の大学の先生方、学生さんと一緒に高血圧の予防や管理といった健康行動に関する研究をしています。私がまだ大学院生だった頃から一緒に研究を継続させていただいていて、コロナ前は現地に行って調査などの共同研究をさせていただいていました。インドネシアの農村地域には家庭用の血圧計を持っている方が殆どいません。しかし、保健ボランティアの支援や看護職が村に来る機会を利用し、血圧を定期的に測定してコントロールしている方がいらっしゃいました。そういった人材や経済などの資源が限られ、教育の機会も十分でない困難な状況でも、その地域の資源をうまく活用して健康づくりをしている方がいらっしゃいます。そのような方にお会いし、工夫や知恵を教えてもらった時はとても楽しいですね。
——現地に行かないとわからないこともたくさんありますよね。その他の海外経験などはありますか?
水谷准教授:看護大学の学部生の時に、ウガンダで日本人医師の活動を見学しました。その際に、上下水道の整備や教育などが十分でないために健康状態が悪化する方がいらっしゃり、日本との健康格差と環境の違いを痛感しました。その後、日本で働き、その経験を活かして青年海外協力隊保健師として、ウガンダで2年間活動しました。ウガンダの人々はすごく生き生きされていて元気をもらえましたね。
また講義をした時にインドネシアの学生は様々な質問をし、興味深く聞いてくださるのでエネルギーがあるなと思いました。コロナ禍の現在、直接現地に行くことは難しくなりましたが、ICTを活用してオンラインで授業やコミュニケーションができるので、学生のみなさんにも国際交流を通して国際的な視野を広げてほしいと思っています。
——海外に行って多様な価値観に触れることは貴重な経験ですよね。研究室での活動を教えていただけますか?
水谷准教授:私は予防的な視点で地域の人々の健康増進をめざす「地域看護学」の教育を担当しています。研究室の活動としては、コロナ禍のためオンラインも活用し、毎週大学院ゼミナールを開き、お互いに研究の進捗状況や疑問などを話し合って切磋琢磨しながら研究を進めています。
地域看護学の研究室には、教員4名、大学院生7名(博士後期課程5名、博士前期課程2名)が所属しています。大学院生の中には、日本の保健師など看護職として経験を積んでから来られる方が多く、また、インドネシアとネパールからの留学生もいたり、多様なメンバーが在籍しているのが特徴です。
——続いては現在研究室に在籍されているソフィさんにお聞きします。研究室はどのような雰囲気ですか。
ソフィさん:研究室の雰囲気はとてもよく、お互いがサポートできる環境だと思います。私はインドネシアの小児肥満の研究をしています。教員からだけでなく院生の仲間からもたくさんのサポートを受けていますし、刺激し合いながら勉強するのはとても楽しいです。
——お互いがお互いをサポートできる関係性はとても羨ましいです!先生は、これからどんな研究室を目指していきたいですか?
水谷准教授:これまで研究室の先生方や地域の保健師さん、大学院生さんやインドネシアの方、その他にも沢山の方に本当にお世話になって研究しているので、今後も地域の方々の健康に資するエビデンスを創出できるように、共同して研究に取り組みたいと考えています。
——最後に、卒業生に向けてメッセージをお願いします。
水谷准教授:コロナ禍で人と直接会うには感染対策が必要ですが、沢山の人に会って自分の価値観を広げてほしいです。社会に出たらうまくいかないこともあるかもしれません。様々な経験や出会った人を大切に、自分の糧にして、地域の保健医療や看護に貢献できる人になってほしいです。また医学部以外の卒業生の方も、三重大学でのご縁を活かして、三重県やご自身の地域を盛り上げていってほしいと思います。
▼プロフィール
聖路加国際大学博士課程を修了後、WHOでのインターンや青年海外協力隊、滋賀医科大学の助教を経て、三重大学に助教として就任し、現在に至るまで三重大学大学院医学系研究科看護学専攻広域看護学領域准教授として、インドネシアの生活習慣病予防・健康増進について研究。
▼関連URL
医学部・医学系研究科ウェブサイトTwitter:Indramayu College of Health Science,Indonesia(インドネシア インドラマユ大学)
Indramayu College of Health Science, Indonesia(インドネシア インドラマユ大学)
中西良文 教授
教育学部 学校教育
中西良文 教授
教育学部 学校教育
——はじめに、先生の研究内容について教えてください。
中西教授:私の研究内容は、一言で言えば学ぶということについてのやる気やモチベーション、「うまく学ぶにはどうすればいいのか」というようなことを研究しています。
——研究室の学生も、中西先生の研究テーマに沿ったことを研究しているのですか。
中西教授:そうですね。自分の研究テーマに近い人だと、今4年生では「先延ばし」のことや、「『褒めること』にはどんな影響があるか」というテーマで研究している人がいますね。「先延ばしをする」というのは学習する時のやり方に関わる話になると思いますし、「褒める」というのはやる気やモチベーションに関わる話になりますね。
——とても興味深いテーマで面白そうです!ゼミの活動内容を教えてください。
中西教授:普段のゼミでは4年生の卒論を検討するのが主にはなりますが、もう一つは文献講読をやっています。前期は「やる気」や「学習」に関する本を読み、後期は前期で学んだことに関わる論文を読んでいます。前期に本を読むのは、学生が漠然と「こういうことをやりたい!」という思いがあるときに、どこが自分の興味と繋がるのかを考えるきっかけになってくれればいいなと思い、読むようにしています。
——自分の興味と研究が繋がっていることはとても大事ですよね。先生のゼミの雰囲気について教えてください。
中西教授:今は3年生が3人、4年生が3人、教職大学院の方1人の計7人で活動しています。教職大学院の方は、現職の小学校教員の方です。教職大学院の方からは現場の先生という視点から意見をいただき、学部生との交流もいい雰囲気で行えていると思います。同じところに興味を持ち、見方が少し違う人同士でやり取りができるという良さがありますね。
もしコロナがなくて、飲みに行けたりするとまた雰囲気が違ってくると思うのですが、ゼミの雰囲気は年によってにぎやかだったり落ち着いた感じだったりします。毎年変わらないところとしては、僕が厳しいという噂が流れているのかもしれないけれど、みんな真面目でしっかりとやってくれる人が来てくれているイメージがあります。「モチベーション」の高い人が「モチベーションの研究室」にきてくれていますね(笑)。
——学生が生き生きと活動できていて楽しそうです!今後はどんな研究室を目指したいですか。
中西教授:自分の研究テーマが学習ということなので、実際の学習の場面に出ていけることができればいいかなと思っています。例えば、授業参観へ行ったり、可能であれば授業作りから関わらせていただいて、振り返りまでするということをゼミの活動の中でやっていけるといいかなと。
もう一つは、対面の学会に行くということもやりたいなと思っています。最先端の研究を見たり、新しい技法を教えてくれるワークショップに参加できたりするといいかなと思っています。
——最後に、卒業生へ向けてメッセージをお願いします。
中西教授:大学で学ぶことについて、よく「大学はゴールではなくスタートラインだ」と言われているので、大学を卒業するというのはスタートラインをきったということになると思います。そして大学卒業した方はそれぞれの道を走っているところだと思いますが、「大学がスタートライン」ということで、スタートラインをきった後のところも、大学がサポートできたらいいかなと思います。スタートラインをきったあとに悩むようなことがあったり、さらに高いところを目指していきたいという思いを持ったりした時には、いつでも大学の方に顔を出していただけるといいのかなと思っています。
教育に関する研究というのも日々進んでいますし、卒業した時よりも新しいことをやっていたりするので、時々大学に来て最新のものに触れてみるのもきっとおもしろいと思います!
——中西先生ありがとうございました。
▼プロフィール
2002年に名古屋大学教育発達科学研究科の博士課程を単位取得退学。三重大学には2004年から講師として所属し、助教授、准教授を経て、2018年からは三重大学教育学部学校教育教授に就任。学習心理学、動機づけ等を専門分野として研究。
▼関連URL
教育学部・教育学研究科ウェブサイト成島三長 教授
医学系研究科 生命医科学専攻
形成外科学教育研究分野
成島三長 教授
医学系研究科 生命医科学専攻
形成外科学教育研究分野
——はじめに、現在の研究内容を教えてください。
成島教授:僕たちは現在、形成外科の研究を主にやっています。形成外科と言われてイメージが付きにくく、よく整形外科と間違えられるのですが、整形外科は主に骨折や打撲など運動器の機能改善を行い、形成では筋肉や表面の皮膚など身体に生じた組織の変形や欠損の整容・機能改善を図ります。みなさんが想像する美容やシリコンのインプラントはもちろん、外傷や先天性の奇形、神経の修復、そして他科からの依頼も受けたりするので、「技術者の集団」というイメージかもしれません。
その中でも我々はマイクロサージャリーという細い管を繋ぐ技術を得意としていて、0.5mm以下の血管をつなげられる超特殊技能を持つ人が集まっています。
——技術者の集団…かっこいいです。普段の活動内容を教えてください。
成島教授:1週間のスケジュールでいうと、普段は月曜日と火曜日の半日が外来、火曜日の半日と金曜日は外科手術、水曜日は事務仕事、木曜日は研究という感じで動いています。年間でいうと研究室研修という形で3年生を一年間研究室へ受け入れたり、5年生や6年生の臨床実習、毎月一回以上の学会発表や特別講演などがあります。3年生にはイモリの再生研究をしてもらい、5、6年生の臨床実習では手術室の見学や豚肉を使って手術に関わる手技を学んでもらっています。
——とてもお忙しいイメージですが、休憩時間やお仕事以外では何をしているのですか?
成島教授:研究室の人との談笑もするのですが、実は三重大学医学部附属病院広報センター長も務めていて、Youtubeの動画や記事をアップロードするのはとても楽しくて、隙間時間にやっていますね。また実は「グッド・ドクター 名医の条件」というアメリカのドラマのシーズン3に出たことがあるんです。手先の部分だけですけどね(笑)
——ドラマにも出演されていて活躍の幅がすごいですね(笑)。今度は研究室の大学院生に聞いてみましょう。先生と研究室のイメージを教えてください。
ヘナさん:先生はとても優しくて頼り甲斐がありますし、研究室もとても人間関係が良くて居心地がいいです。実は僕はザンビアから来ていて、成島先生は日本の形成外科医として有名な先生だったのでお堅いイメージがありましたが、実際に話すと教授らしくないフランクさがあってとても話しやすいです。そして仕事をいつも一生懸命にやっているイメージです(笑)。
——成島先生の親しみやすさはこのインタビュー中だけでもよく伝わります(笑)。最後に、卒業生へのメッセージをお願いします!
成島教授:三重大学の卒業生にはご年齢が僕より上の方もいるので、あまり偉そうなことは言いづらいですね(笑)。私はもともと東大に10年くらいいてその後三重大学に戻って来たのですが、三重大学に来て感じたことはやっぱり風通しがとても良くて働きやすいことですね。
ただ現在は毎年大学の予算が削られるという状況下で、地方にある三重大学も予算面で厳しくなっていきます。そういう状況で誰しもが「生き残っていくこと」を考えていて、それ自体はもちろん大事ですが、それよりも「三重大学を残した方がいい」とみんなが思えるような活動をしていくのが大事だと思うんです。僕たちもそういった活動をしていきたいと思っていますし、卒業生の方で、同じ思いを持っていただける方がいらしたら、寄付と言う形でもいいので応援してくださればと思っています。一緒に三重大学を盛り上げていただけると嬉しいですね。
——成島先生ありがとうございました。
▼プロフィール
2001年三重大学医学部卒業後、さまざまな病院研修を経て2006年に東京大学医学部附属病院形成外科・美容外科助教に就任。2017年に三重大学医学部附属病院形成外科教授に就任。現在は国際医療支援センター長や三重大学医学部附属病院広報センター長も兼任。
▼関連URL
医学部・医学系研究科ウェブサイト三重大学医学部附属病院形成外科HP
関谷信人 教授
生物資源学研究科
国際資源植物学教育研究分野
関谷信人 教授
生物資源学研究科
国際資源植物学教育研究分野
——はじめに現在の研究内容を教えてください。
関谷教授:研究内容としては、有機物などの肥料を水田に与えた時にどういったメカニズムで稲に吸収されるのか、そのメカニズムを解明する研究を行っています。
多くの研究者は人工気象装置などを使用して稲を栽培し、データを取集する方法を用いますが、私の研究室では学内で条件を整えて育てられた稲のデータと実際の生産者様の水田で育てられた稲のデータを比較する方法を用いることで、新たな知見を得たりメカニズムの理論的な裏付けをしたりしています。本来廃棄される有機物を使用することができれば、高騰する肥料の代替品になりますし、地域内で自給できるようになるのでとても有意義な研究だと考えています。
また、私の研究室の名前は国際資源植物学といって、名前から国際的なことをやると思われますが、グローバルとローカルを合わせた”グローカル”、つまり”地域で起きることがそのまま世界につながる”というモットーで活動しています。そのため特に海外ということに拘らず、「地域の課題に焦点を当てつつもそれを世界水準に昇華させる」という考えで研究をしています。
——“地域と世界がつながっている”という視点はとても大切だと感じました。研究室での普段の活動を教えてください。
関谷教授:研究室では基本的に4月から9月は稲のデータを集め、10月から3月にはデータの分析とその結果を学会やアカデミックフェアなどで発表します。最近では東京ビッグサイトのアグリビジネス創出フェアでの発表もありました。また夏場は何度も生産者の元へ足を運んだこともあり、とても仲良くさせていただいているので、生産者の思いを無駄にしないためにも外部への発信は力を入れています。
生産者の方はもちろん、私が青年海外協力隊にいた頃のつながりや企業の方とのつながりから共同研究が始まったりするので、そういったつながりは大小問わず大切にしています。
——人との繋がりは僕も大切にしていきたいです。続いては博士前期課程1年の前采花(まえあやか)さん、研究室や関谷先生の雰囲気を教えていただけますか。
前さん:まずこの研究室は室内というより学外でのフィールドワークが多く、地域の方とのつながりを大切にしている点が特徴的だと考えています。私の場合研究の関係で京都にいる生産者様の水田へ尋ねる機会が多々あり、その際稲に関する実際のお声を聞くのですが、生産者様とお話しすることで自分の研究が生産者様のためになっていると実感できますし、「この方のために研究を頑張りたい!」と、研究の励みにもなります。また海外交流も盛んで先生とのやりとりは基本的には英語で行っていますし、現在はガーナから来た留学生もいます。
関谷先生についてですが、先生は頭の回転が速く、何事にもストイックにやられている方です。先生はよく「地域の課題解決が海外の課題解決にもつながる」とおっしゃっていて、地域の方との連携をしつつも研究はグローバルな視野で考える必要があると教わりました。大変な面やまだまだ未熟な点はありますが、この研究室に入った頃と比べるととても成長できたと感じています。
——自分の研究が直接生産者様につながるのはとてもやりがいが感じられそうです!今後はどのような研究室を目指したいですか。
関谷教授:将来的には世界をリードしていけるような研究室を目指しています。私は三重大学に来て7年経ちましたが、この7年間は地域のネットワークの構築や研究室として成立させるのに苦労した7年間だったと感じています。今後は構築したネットワークを活かして、サステイナブルな農業の実現に貢献し、世界トップレベルを目指していきたいです。もちろん学生にもそれは伝えていますし、中には急激に伸びている学生もいます。大変な面はもちろんありますが、とてもやりがいのあることだと感じています。
——最後に卒業生へメッセージをお願いします!
関谷教授:私からのメッセージとしては、”三重大学にもっと注目し、発信してほしい”ということです。私が教授として生物資源学部の学生を見ていると、昔に比べて生徒のレベルが上がり、トップレベルの研究も増えてきたように感じています。しかし人によっては「三重大学は中堅校」といったイメージがあり、これはやはり”今の三重大学”が伝わっていないからだと考えています。
卒業生の方にはもっと三重大学に注目していただき、発信していただくことで、より三重大学のイメージ向上や発展、そして地域貢献につながると考えています。まずは勤務先の企業やご家庭など身近なところで話題にして頂くだけでも、巡り巡って三重大学の発展につながると考えています。学生のためにも、ぜひみなさんで協力しましょう!
——関谷先生、ありがとうございました!
▼プロフィール
2004年に名古屋大学博士課程を修了後、青年海外協力隊や大学の研究員、特任助教を経て、2015年から准教授として三重大学に就任し、2020年から現在に至るまで生物資源学部国際資源植物学教育研究分野の教授として、持続的水稲栽培技術の開発について研究。
▼関連URL
生物資源学部・生物資源学研究科ウェブサイト研究室ホームページ
諏訪部圭太 教授
地域イノベーション学研究科
分子遺伝育種学教育研究分野
諏訪部圭太 教授
地域イノベーション学研究科
分子遺伝育種学教育研究分野
——はじめに、現在の研究内容を教えてください。
諏訪部教授:正式に言うと所属が2つありまして、地域イノベーション学研究科ではバイオイノベーション、生物資源学部では分子育種学研究室に所属しています。
研究内容は、植物を分子レベルで紐解いていくというものです。最終ゴールは野菜の品種改良で、そのための基礎研究として、分子レベル、遺伝子レベル、DNAレベルで植物のメカニズムを解明するという研究を行っています。
——ターゲットにしている植物の品種はありますか?
諏訪部教授:植物の品種については、野菜でいうと白菜やキャベツ、大根などのアブラナ科に属する植物です。 ただし研究においては、ヒトの研究でモデル生物としてマウスが使われるように、植物ではシロイヌナズナを使います。そういった植物は屋外ではなく研究室で、日の長さと温度を全部コントロールできる人工気象器の中で育てています。
僕らは植物学者ではありますが栽培のプロではないので、実際に畑を使って野菜に応用していく時には、企業や公的な研究機関に担当してもらいます。今後は麻の研究も進めますので、そちらにも注目してもらえると嬉しいです。
——学生に指導する上で意識していることはありますか?
諏訪部教授:週1回ゼミがあるのに加え、毎週のミーティングを通して研究の進捗状況や困り事をフランクに話せるようにしています。また僕の生物資源のオフィスは、自分のデスクは4分の1だけで、半分は植物を栽培する棚、もう4分の1は顕微鏡が2台入っていて、そこは学生達が自由に使えるように用意してあり、できるだけ壁がないように工夫しています。
経験の長さや知識技術の差はあれど、僕は学生ではなく同志という風に思っているので、”教員だから偉い”というスタンスは取りたくないと思っています。
——教授がそのように考えてくださると学生にとっても嬉しいと思います。続いては学生さんから見た先生の印象を教えていただけますか。
学生A:研究室選びの際に、どこが自分に合っているか正直分からなかったので、先生の人柄で選びました。諏訪部先生の授業は一番熱がこもっていて、この人の研究室が一番楽しそうだと感じて選びました。
学生B:先生は学生自身をとても尊重してくれますし、強制して実験させるようなことは全然しないです。基本的に先生から干渉することはあまりなくて、学生側から聞きに行くとたくさん教えてくれます。実験で失敗してもネガティブなことは言わないですし、それで薬品が足りなくなったりしても気前よく買ってくれます(笑)
——かなり慕われているのが伝わってきます。では今後どんな研究室を目指していきたいですか?
諏訪部教授:最近はいい意味でも悪い意味でも教員と学生の壁が低くなっていて、教員が学生にサービスをするような雰囲気が出ている気がします。しかし、教員というのは若者たちを育てていく上で最初に越えなければいけない壁だと思うので、頑としていたいというのが自分の中ではあります。
そして研究自体は、NatureやScience(国際的な学術雑誌)を目指していきたいですし、それに値する内容ではあると思っています。大学全体としてアットホームな雰囲気もいいかもしれませんが、緩くならずに”きちんと研究を目指す組織でいたい”という思いがあります。
——最後に卒業生へのメッセージをお願いします!
諏訪部教授:三重大学は、昔は本当に素朴な地方大学だったと思います。自分が学生のときにはとてもとんがった先生たち、要は「研究をやるんだ」「学問をやるんだ」という熱い思いを持った先生方がいて、そのおかげで僕は育つことができました。今度はその歴史を受け継いで、僕が一人のOB教員としてとんがった面も生み出して、バトンをつないでいきたいと思っています。
——諏訪部先生ありがとうございました。
▼プロフィール
2000年に三重大学博士前期課程を修了。様々な場所で研究員を経験した後、2009年から三重大学大学院生物資源学研究科に准教授として就任。2021年に三重大学大学院地域イノベーション学研究科・生物資源学部教授に就任し、植物分子遺伝学を専門分野として研究。
▼関連URL
地域イノベーション学研究科ウェブサイトコーディネート育種基盤創生リサーチセンター概要
研究室ホームページ
三重大Rナビ 研究室探訪
高尾善希 准教授
人文学部 文化学科
高尾善希 准教授
人文学部 文化学科
——まずは研究内容を簡単に教えてください。
高尾准教授:私は忍者について研究しています。忍者といっても史実の忍者とフィクションの忍者がいて、私は古文書に出てくる史実の忍者について研究しています。
それから、忍者が書いた忍術書というものがあり、理系の先生方と、その内容に関して、実現可能性や実現した場合の効果について、科学的に研究しています。
——忍者の研究って面白そうですね!研究室での年間行事や普段の活動を教えてください。
高尾准教授:忍者に関する史料集めを、日常的に行っています。「全国忍者調査プロジェクト」(通称「忍プロ」)という名前をつけて、全国900か所の博物館や教育委員会に対し、史料所在についてのアンケート配布を行いました。その回答情報をもとに、各地を飛び回っています。マスコミ対応の仕事もしているので、周りの方から、どうしてそんなに動きまわれるのか?とかいろいろ言われたりしていますね(笑)。
年間14回の忍者・忍術学講座や、下半期に毎月1回、地域の方を集めて、忍者に関する古文書の講座などを開催しています。
それから、「国際忍者学会」という学会で、大会や研究会を開催しています。年1回、学術雑誌も出しています。しっかりとした査読誌です。
あとは、「伊賀上野城下復元地図」というスマホ・アプリの開発・更新もしています。これは、忍者のこととは直接的には関係ありませんけれども、地域の景観も、遺産として活用していただきたい、という趣旨の活動です。
——なかなかほかにない研究内容なので全国から興味を持つ人が集まるんですね。では、今後はどのような研究室を目指したいですか?
高尾准教授:そうですね、先ほど話した「忍プロ」で100以上の組織から情報をいただいたんですけど、なかなか全てを調べきれないので、まずは「伊賀」という名前のついた忍者を調べたいですね。伊賀から全国に散った忍者の史料を集めて、“全国視野からみた伊賀”という観点で、研究していこうと思っています。
また、学生と一緒に研究・運営していきたいですね。研究や教育と国際忍者研究センターの運営・地域連携の両者が、一緒になるようにすることが大事です。
それから、地域連携などをする組織ですから、いろいろな人に出入りしてもらえるようにしていきたいですね。研究室って、乱雑なイメージがあるんですけど、気軽に来訪できる場所にしたいので、なるべくきれいな部屋にしていくように心がけています。(笑)
——現在は何人くらいの学生さんがいらっしゃるんですか?
高尾准教授:今年度から人文学部の専任になったので、忍者に関する卒論を書く人は、まだ1人しか受け入れていないんですけど、もの珍しさからなのか、ゼミには、忍者に関する卒論を書く以外のひとがむしろたくさん集まってしまって、今は20人くらいの学部生がいますね。
——忍者の研究って聞くと、確かに気になりますよね。(笑) 研究以外の休憩の時や休みの日はなにをされていますか?
高尾准教授:国際忍者研究センターの周りには老舗のお店が多いので、ご飯を食べに行きながら伊賀市の方と触れ合ったりしていますね。
——最後に卒業生へ向けてメッセージをお願いします。
高尾准教授:私から伝えたいのは、卒業してからも、三重県に何か接点をもって活動していただきたいな、ということですね。
私自身、三重県出身でなく、千葉県出身で、千葉県・埼玉県・東京都で歴史学を学び、たまたま伊賀者のことを調べていて、現在は、縁があって、三重大学に勤務しています。縁というのは、不思議なもので、私の祖父と曽祖父が三重大学の前身校の出身です(三重高等農林学校・三重県師範学校)。だから、縁というのは大事なことです。皆さんも、せっかく三重大学に縁をもっていただいたのですから、三重県に関係することに、少しでも関わっていただければと思いますね。
——高尾先生ありがとうございました。
▼プロフィール
2002年に立正大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程研究指導修了満期退学。2004年に立正大学 博士(文学)〔文博(甲)第43号〕学位取得。
現在は、三重大学人文学部文化学科准教授(三重大学国際忍者研究センター 兼任)として、日本近世史(忍者学)を専攻している。
▼関連URL
人文学部・人文社会科学研究科ウェブサイト三重大学国際忍者研究センターHP
三重大学国際忍者研究センターYouTubeチャンネル